人材は会社の要です。どんな人を採用したか、どんな人たちが働いているか、それだけでその会社のほとんどが決定づけられてしまいます。
仕事量が急増したり、優秀な人が辞めてしまった場合、新たな人材採用は急務になります。
ですが、それでも中途半端な人を雇うよりも人が足りない方が、将来的に企業のためになります。
ここでは事務用家具専門販売店 Vitsoe(ヴィツゥ)の人材採用プロセスについて紹介しています。
Vitsoe(ヴィツゥ)の基本理念は「より少なく、より長持ちするもので、よりよく暮らす(Living better, with less, that lasts longer)」です。
人材採用にもその理念が用いられています。第一に「いまひとつの人を雇うより、人が足りない方がいい」という基本方針を持っています。
人材採用プロセスは次のようになっています。
最初に行うのは電話面接です。なぜ直接の面接でないかというと、その人の見た目に左右されないようにするためです。
電話対応のマナーも合わせてチェックすることができます。
電話面接を通過した候補者は次に、社内の様々な人と面接を行います。社内で一緒に働くことになるため技術、雰囲気、考え方など多角的な視野で面接を実施します。
何段階にもおける面接を通過した後は1日体験入社を行います。ここで実際にチームに交じって働きます。
1日体験入社をした後、社員にアンケート用紙が配られます。アンケートの質問は2つです。
このアンケートで社員の反応が微妙なら、その候補者はアウトになります。
このプロセスを通過することができなければどんなに優秀でも落選になります。
ある有能な男性が組み立て・設置エンジニアの職に応募してきたことがありました。これは顧客への印象を左右する重要なポジションです。
彼は腕が良く、体験入社でもチームと一緒にそつなく作業をこなしました。
しかし、社員へのアンケートで「1日の作業が終わって道具を片付けていた時に、工具を雑に放り込んで工具箱の蓋を閉めた」という点が気になったという意見がでてきました。
Vitsoe(ヴィツゥ)の求めるエンジニアの条件は決して工具を雑に扱わない人であるため、結局この人は優秀だったにも関わらず不採用となりました。
これだけの厳格な審査を行い人材を採用することが同社が長年高品質を保ち続けている理由でもあります。
Vitsoe(ヴィツゥ)が人材採用で確かめようとしていることは「会社と相性がいいか?」です。
その確認のためには様々な基準と情報が必要です。何度も面接を繰り返し1日体験入社をするのは、慎重に情報を集めて、基準と照らし合わせ、冷静かつ論理的に決断を下すためです。
Vitsoe(ヴィツゥ)は優秀な人でも会社と完全に合わなければ落とすという選択をしました。
これは、会社に合わない社員を雇うことは大きなリスクになると知っているからです。
間違った社員を雇うと「無能の連鎖」が起こります。ダメな社員がダメな社員を呼んでいきます。
無能の連鎖が発生すると、かつては優秀だった会社もやがて落ちぶれていきます。
会社と合わない社員や、優秀でない社員を雇ってしまうと、そういったダメな人材の育成や管理に多大な時間を取られることになります。
結果、時間とエネルギーを会社を改善・成長させるために使うことができなくなってしまいます。
この記事はAppleやGoogle、FacebookやTwitterなどの世界的に有名な企業でコンサルティング経験のあるグレッグ・マキューン(Greg・Mckeown)氏の「エッセンシャル思考」という本の一部要約と抜粋です。
世界的ベストセラーになったこの本には他にも人生を成功と幸せに導く格言がたくさん載っています。
興味を持たれた方は是非実際に手に取ってみることをお勧めします。