毎朝部下と話す時間を5~10分作っているという人はあまり多くはありません。
仕事の時間は決まっているし、会議や業務で大忙し、毎朝10分も時間をとるなんてもったいないといういうのが本音です。
ですが、むしろ朝5~10分時間をとって部下と話す時間を作った方が、自分の時間がより生み出されることになります。
ここでは、朝5~10分部下のために時間をつくることとでなぜ時間が生まれるのか、その時間で具体的に何をすればいいのかについてまとめています。
朝の5~10分間で実施することは部下との個別ミーティングです。そのミーティングでやることは「その日にやる業務内容」と「なぜそれをやるのかの理由」を確認することです。
なぜわざわざ朝の時間を使ってこの2つを確認することが後々時間を生み出すかというと、それは次の3つの理由です。
もちろん皆が優秀で毎朝仕事に来る前にその日にやる仕事内容や目的を毎日思い起こしている人たちであれば、こんなことは必要ありません。
ですが、世の中はそうでない人の方が多いのが実情です。
仕事は自分が何のためにやっているか、そして、具体的に何をやればいいかがわかっていればスムーズに進みます。
そうでなければ、一つの作業をするごとに「えーと、次は、、」というようなタイムラグが発生します。
そのタイムラグが短ければ問題ありませんが、人によっては思考停止して沼にハマってしまう人もいます。
「今日は何をやるか」「それは何のためか」を理解していればパフォーマンスが上がります。部下のパフォーマンスがあがり成果が大きくなれば、上司としても組織としても大きなメリットになります。
「今日は何をやるか」「それは何のためか」が分からない状態で仕事を進めれば、もちろん、意図していない方向に進んでしまったり、間違った結果につながる確率は多くなります。
間違ってわからなくなってしまった結果、「すみません、教えてください」と言われたり「今までなにやってたの!?」と言いたくなる状況が生まれます。
朝のミーティングで確認しておくことで、こういった不測の事態を防ぎ、自分の時間を守ることができます。
朝のミーティングで毎回「今日は何をやるか」「その目的は何か」を確認していれば、部下は明日もその質問をされることが予測できるようになります。
そして、前もって考えておくようになります。
人が何か新しい習慣を身に付けるまでにかかる期間は3か月間と言われています。つまり、3か月以上継続すれば、その人は「今日何をやるか」「その目的は何か」を考えることが習慣として身に着くようになります。
5~10分の個別ミーティングは人数がおおければ多いほど時間はかかりますが、仮に6人を5分づつ実施したとしても30分しかかかりません。
朝ミーティングは確実にその日の30分以上の時間をもたらし、そして未来の部下の成長ももたらしてくれます。
これほど効果的なミーティングはなかなかありません。
ミーティングの時間をより効果的にするために実行するべきことは「昨日の復習」と「今日の予習」です。
何かを話し込むわけではなく、ただシンプルな質問をして相手から答えを引き出すだけです。
昨日の仕事を振り返るには次の2つの質問をします。
今日の仕事を効率的に進めるために、次の2つの質問をします。
中には「わかりません」と言ってくる人もいます。そうしたときに上司としてやってはいけないことは「答えをいう」ことと「否定する」ことです。
「わからない」と言われたときは「わからなくてもしょうがない。あてずっぽうでもいいから言ってみて」と言って、自分の中で仮説を立て答えさせる経験を積ませます。
その仮説がトンチンカンで明らかに間違っていたとしても決して否定してはいけません。
「なるほど。面白い意見だね。他にはどんなことがあると思う?」と言って、あくまで自らの力で考えさせるようにします。
それでもわからない時はヒントを与えます。「なるほどね僕たちはこんなことをしてるんだ。そのために必要なことをこれからやるんだけど、何だと思う?」といった感じです。
時間切れであまりにも出てこなければ「じゃあ、明日また聞くから答えを考えておいて」「今日の仕事の中で明日はどうするとよくなるかを考えてみて」というように切り上げます。
一刻を争う緊急事態なら答えを教えざるをえませんが、答えを教えることで人が育つことはほとんどありません。
逆に、いじわるしてヒントも答えを何一つ与えないと、相手の心はどんどんと離れていき、あなたからも会社からも遠ざかっていきます。
朝の個別ミーティングは次の一言で締めくくります。
「よし、じゃあ、仕事を進める中でわからないことがあったら連絡して」
この一言を付け加えることで、あなたのことを配慮しているということが伝わります。これが将来的な信頼関係を築き、何かあったときにすぐに報告してもらえる状況にするために重要です。
この記事の内容は篠原 信さんの「自分の頭で考えて動く部下の育て方」の内容の一部抜粋と要約です。
なぜ指示待ち人間が生まれてしまうのか、どうすると人が自ら動いてくれるのかがたくさんの実例を踏まえてとてもわかりやすく説明されています。
マネージメントなど人を指導する立場にある人は一読しておくべき指南書です。