世の中にはお客さんからお金をもらうことを「悪いこと」と捉えている人がいます。
無料で奉仕したり、ボランティア活動こそがいいことで、ビジネスや金銭の受け渡しはよくないことだという考え方です。
この考え方を持っている人は営業マンとして非常に致命的です。
相手が何も言っていないのに、勝手にどんどんと値下げをしたり、最安値を提示したりします。
相手はそのことがわからないので、更に値下げを要求され自分も会社も苦しい立場へと落ちていきます。
ここではそういった人がなぜそのような考え方をしているのかや、その考え方から抜け出し、よりお金を稼ぎたいと思える方法についてまとめています。
お金を受け取ることを悪い・申し訳ないと感じてしまう人には以下のような思い込みがあります。
商品やサービスを売る時に「こんな金額で申し訳ない」と思っている人の特徴の1つ目は、「自分(たち)の提供しているモノにそれほどの価値がない」と思い込んでいることです。
企業などに勤めている人でかつ、完璧主義者にありがちな思い込みです。
自分たちは大した仕事もしていない、世の中にはもっといいサービスがあると考えることは企業が成長していくために非常に重要です。開発者として欠かせないマインドです。
ところが、そういった人が営業に回ると、こんな中途半端な仕事や商品でお金をとるなんて申し訳ないという気持ちが湧いてしまいます。
自分自身がその商品や仕事に妥協している気持ちがあるので、お客さんに対してもその気持ちで接してしまうわけです。
商品やサービスを売る時に「こんな金額で申し訳ない」と思っている人の特徴の2つ目は、「相手のことを考えすぎてしまう」ことです。
相手の私情や家のこと、家族のことなど余計な詮索をして「この人からこんなにお金をとったら、後の生活で困るだろう」といったことを想像し思い込んでいます。
商品やサービスを売る時に「こんな金額で申し訳ない」と思っている人の特徴の3つ目は、「いい人と思われたい」という欲求です。
「悪い人と思われたくない」「相手に喜ばれたい」「嫌な思いをさせたくない」という思いとも同じです。
「いいものを可能な限り安く提供すれば相手も喜んでくれる」という思い込みがある故に、高い値段や定価を提示することを悪いと思い、罪悪感を感じてしまいます。
商品やサービスの代金としてお金をもうらのが悪い・申し訳ないと感じてしまう原因はその人本人の思い込みです。
このしくじった思考を変えるには、お金をもうらことに対する考え方を変える必要があります。
マインドセットが変わらない限り、お金をもうらことは苦しいままです。ですが、「お金をもらっていいんだ」と思えるようになれば、商品やサービスの代金としてお金をもうらうのは当たり前と感じるようになります。
そのためには次の考え方を知ることが重要です。
商品やサービスに対してお金をもらうのは申し訳ないと考えている人の一番のしくじりは「自分が価格を決めている」ことです。
いずれの場合も、「私は高いと思う」「私はもっと安くあるべきだと思う」という思い込みが先行しています。
ですが、価格が高いか安いかを決めるのはお客さんです。相手の考えに対してあなたがあれこれと口出しをすべきではありません。
あなたがすべきことはその商品やサービスでできること、それがない暮らしとある暮らしで何が変わるかを伝えることです。
そして、その商品やサービスがある暮らしをお客さんに想像してもらうことです。
「いかに安くしようか」と考えるエネルギーを「どうすれば相手にこの商品やサービスの価値やメリットを伝えることができるか」を考え抜くべきです。
営業マンが安くしないと申し訳ないと考えている時点で、しっかりと仕事をしていない状態です。
商品やサービスを売る時に「これでお金をもらうなんて申し訳ない」と考えている人は、お客さんに対してその商品やサービスを売る責任や覚悟を放棄しています。
何かあったときに自分は責任を負うつもりはない。だから安い値段で出すべきだと考えています。いわゆる「安かろう悪かろう」の考え方です。
ですが、商品やサービスで最も高い価格がつくのは、その商品自体ではなく「信頼」です。
「安物買いの銭失い」という言葉があるように、人は安くてすぐに壊れるものや、困った時に自分でなんとかしなければいけないものよりも、高くても安心・信頼できるものを購入する特徴があります。
このため「何かあっても私が責任を負います」と言い切る姿勢が信頼につながり、購入へとつながります。
信頼は何かあったときにすぐに駆け付けたり、わからないことがあったときに手厚いサポートを行うなど非常にコストが高いものです。
その責任を販売者である自分が追うと考えれば、できる限り高く売りたいという気持ちが湧いてきます。
なぜなら、それだけの時間や労力を割く可能性があり、何かあったときはいつでもそれだけの労力を割かなければいけないからです。
商品やサービスを提供するときに、常に同じ一定のものを提供しようと考えている人は「お金をもらうのが悪い」という考えに陥りやすい傾向があります。
お客さんが支払ってくれるお金が「高ければ高いほどいい」と思えるようになるためには、商品やサービスは一定ではいけません。高いお金を払ってもらえたら払ってもらえた分、いいサービスを提供するんだという心持ちが重要です。
お客さんが「あなた(あなたの会社)にならこれだけ払ってもいいですよ」と言ってくれたら、その分お客さんが喜んでもらえるように頑張るという姿勢が重要です。
人が不快に思ったり嫌だと感じる根本の要因は「高い・安い」ではありません。
相場より安く商品やサービスを提供しても、その商品やサービスに満足しなければ人は不満を抱き、文句を言います。
逆に、どんなに商品やサービスが高くても、それが満足できるものであれば人は感謝や満足感を抱きます。
例えば、500円の料理でもマズかったり、店員の対応が悪ければ「最悪だ」という印象が残ります。口コミも相応に悪いものになります。
一方、4倍の価格の2000円でも、料理がとてもおいしく店員さんの対応がよく、心地よい時間を過ごすことができれば「よかった」という印象が残ります。
つまり、大切なのは高い・安いという値段ではなく、相手が満たされているか、悩みが解決されよかったと思えているかどうかです。
私たちが思っている以上に「感覚」や「感情」は価格と切り離せない、密接に関わり合ったものです。
ホストやキャバクラに何百万や何千万といった大金をつぎ込んでいる人たちがいますが、その人たちは支払っている金額を妥当だと考えています。そして、ホストやキャバ嬢たちもその金額に見合うだけのサービスを提供してお客さんを満足させています。
「お金をもらって申し訳ない」と考えているエネルギーや時間があるなら、その時間を「どうすればこの人はもっと喜んでくれるか」にシフトしましょう。
営業は価値を伝える仕事です。相手を満たす仕事です。そのことに従事すれば、最終的な価格は相手が決めてくれます。
そして「お金をもらって申し訳ない」とあれこれ悩む必要もなくなります。