どこの企業も優秀な人材が欲しくて欲しくてたまりません。ですが、そもそも優秀な人材とはどういう人たちでしょうか?
世の中には、本当に優秀な人もいれば、優秀そうに見せるのが上手な人、優秀そうに見えないけど実は優秀な人などたくさんの種類の人たちがいます。
人事や社長など、採用面接ではその人が本当に優秀で自社で活躍してくれる人材なのか見極めなければいけません。
ここでは、優秀な人材とはどういう人かを簡単にまとめています。
優秀な人材の1つ目の条件は、胸の内に熱い情熱を秘めている人です。
その情熱がその人の生き方となり、粘り強さや、気概、真剣さ、全てをなげうって没頭する姿勢へとつながっていきます。
採用面接の場では、その人が胸に熱い情熱を秘めているか、その情熱が本物なのかを見極めなければいけません。
一つ重要な事実に「私の情熱は~です。なぜなら…」と言って語りだす人は、内側に情熱を秘めていない人です。
面接のために披露するための情熱を上手に作ってきた人です。つまり、こういった人は情熱があるように見せるのが上手い人でもあります。
本当に情熱がある人は結果を持っています。なぜなら情熱とは、異常なまでに熱中した行動となり現れるからです。
情熱がある人は自分の興味があることについて、無限と思われるほどに語り続けることができます。それほどまでにひたむきにそれにのめり込んでいるからです。
ただし、情熱があれば誰でもいいわけではありません。何かに強い情熱を持っている人は、当然それを優先します。それがその人にとってもっとも面白く、人生の中で一番優先すべきことだからです。
このため、企業側は、その情熱が自社と関連性が深いかどうかを判断して採用を決める必要があります。
その情熱を活かすことができないのに採用すると、その人にとっても会社側にとっても地獄で、何一つまともな結果が生まれずに終わるリスクが高まります。
たった30分程度の短い面接時間でその人のパーソナリティを完全に見抜くことはとても難しいことです。
たいていの場合、面接に向けてしっかりと準備しています。受験者たちは自分をいかに優秀に見せるか、情熱的に見せるか、チームワークがいい人に見せるかを徹底的に準備しています。
そんな中で、相手の本質を見抜くチャンスがムダ話です。
人は自分がハマっていることや、好きなことを語っているとき無防備になりやすくなります。面接官はその特性を上手に利用して、性格を判断します。
例えば、その情熱が向けられている先が、トライアスロンやウルトラマラソンの場合、個人で黙々と練習し走り続けることなのか、それとも仲間と一緒に練習することを楽しむ人なのか。
孤独なのか社交的なのか、排他的なのか協調的なのかを判断します。
企業にもよりますが、多くの場合必要とされる優秀な人材は「協調的」で「社交的」です。
優秀な人の2つ目の条件は「新しいことを学ぶ意欲が高い人」です。
これまでの変化の遅かった時代、従業員は言われた仕事を決められた通にやっているだけで成果が出ました。
しかし、インターネットが普及した現在では、状況は目まぐるしく変わり、どんどんと新しいものが出てきます。
そんな中で成果を出し続けていくためには「新しいことを学ぶ意欲が高い人」こそが必要な人材です。
何か新しいことに挑戦するときは、リスクや努力を伴います。全くゼロの状態から学習しなければいけないため学習コストも高くなります。
そのときに、安定を重視する人ばかりだと誰も挑戦しない会社になってしまいます。
だからこそ、新しいことを学ぶ意欲がない人は絶対に採用してはいけません。企業の大きな足かせになります。
「新しいことを学ぶ意欲が高い人」は次のような特性を持っています。
変化を楽しみ、学び続けることを目標としている人たちを、親しみと敬意を込めて「ラーニング・アニマル(学習する動物)」と呼んだりもします。
マインドセットという言葉をご存じでしょうか?マインドセットとは、その人の思考パターンを表す言葉です。
柔軟性のないマインドセットの人は、過去にこだわったり、これまでの習慣は変えられないと考えています。いわるゆる、人は変わらないと考えている人です。
一方、柔軟なマインドセットの人は、努力すれば自分の能力を変えたり、新たな能力を開発することができると考えている人です。いわゆる、人はいくつになっても成長できると考えている人です。
柔軟性のないマインドセットの人の目標は「こうなりたい」や「自分とはこうあるべきだ」という理想像です。その目標によって自己像を維持しています。
このため、間違えたり失敗すると自己イメージが崩れると考えます。結果として挑戦や失敗、リスクを恐れます。
一方、柔軟なマインドセットの人の目標は「学習すること」です。学習すること自体が目標で、より多くを学びとれる方法を選択します。
挑戦と失敗こそが学びを最大化する方法だと知っているので、失敗や間違い、目先の利益にこだわり、あれこれと悩むことはありません。
マインドセット | 思考パターン | 目標 | 行動 |
---|---|---|---|
柔軟 | 人はいくつになっても変われる | 学習すること | 間違いやリスク、目先の利益にこだわらない |
固執 | 人は変わらない | 理想像。自己イメージを保つ | 間違いやリスクを恐れる |
柔軟なマインドセットがいかに大切かは、自動車王と呼ばれるヘンリー・フォードの言葉が表しています。
人は学習を辞めたときに老いる。20歳の老人もいれば、80歳の若者もいる。
学び続けるものは若さを失わない。人生で何より素晴らしいのは、自分の心の若さを保つことだ。
柔軟なマインドセットを持ったラーニング・アニマルたちにはとてもわかりやすい特徴があります。
それは、自分の仕事に直接的に関わりがないことでも、積極的に学ぼうとするということです。
セミナーや勉強会など新しいことを学ぶ機会が与えれらたときに、ラーニング・アニマルはその機会を苦痛に感じることはありません。
むしろ自ら進んで様々な学習機会に参加しようとします。
逆に、そういった学習の機会を避けようとしたり、苦痛に感じる人たちはラーニング・アニマルの皮を被った偽物です。
面接官は相手が心から学ぶことを楽しめる本物のラーニング・アニマルなのか、採用面接を通るために一時的にラーニング・アニマルのフリをしているのかを見極める必要があります。
優秀な人の3つ目の条件は「何時間一緒にいても楽しい人」です。
前向きで、学ぶことが好きで、協調的で、何かに強烈な情熱を持っている人は、話のネタがつきません。そもそも人と話すことを楽しみます。
そういった人を見極める方法は、次の2つの仮説を考えることがとても役立ちます。
相手が協調的で社風に合っているかを確かめるには「会社のトイレでばったり会っても嫌な思いをしないか」を検討してみることです。
そのときに「嫌だなぁ」と感じるのであれば、その人は不採用です。あなただけでなく、他の人も同様に嫌な思いをするからです。
トイレは仕事から離れてプライベートを感じられる空間ですが、より一緒にいる時間を楽しめるかどうかを確認するには「空港で8時間飛行機を待つ間一緒にいて楽しいか」を問いかけてみるといいでしょう。
飛行機の遅れや、天候不良など予定していたフライトを8時間も待たされるというのは最悪の状況です。
その最悪の状況で一緒に”なってしまった”ときに、その時間を楽しめる人かどうかは重要な判断材料になります。
あなたを無視してスマホやPCを触りだしたり、距離を置いて話すことを拒むような人は即刻不採用にすべきです。
優秀な人の4つ目の条件は「思いやりがあり、礼儀正しい人」です。
会社は人が集まった組織である以上、協調性が非常に重要になります。思いやりや礼儀の無い人がいると、不快な思いをする人が増えたり、それが周りに伝染します。
思いやりや礼儀がない人は決して採用していはいけません。
重要なのは礼儀と思いやりが本質的であることです。
取引先や目上の人など、自分よりも権威がある人に対してはとても気配りができて、礼儀正しい人もいます。そういった人は権威のある人がい無くなった途端に周りに威張り散らすようになります。
その人の目的は協調性ではなく、自分がいかに上に気に入られて美味しい思いをするかです。つまり、自分のことしか考えていません。
酔っぱらったときに、暴言を吐いたり、暴力的になる人は本質的な礼儀正しさと思いやりを備えていません。
本質的な思いやりや礼儀正しさを確かめる方法は次の2つが効果的です。
食事などに誘ってお酒を飲んだりします。その時に、その人がウエイターに対してどのように接するかを見ます。
おしぼりを持ってきてくれたとき、水を持ってきてくれたとき、料理をもってきてくれたときに、見向きもせず無視するような人は、思いやりや礼儀正しさがありません。
この人はウエイターで自分は客だという差別的な考え方をしている人です。
候補者を毎回食事に連れ出すことは難しいものです。そんな時は秘書テストが有効です。
面接の際に、わざと5分ほどの隙間時間をつくり、その間に秘書がたわいもない話を話しかけます。「どこから来られたんですか?」「へえ、そこに旅行にいくとしたらどんな場所がお勧めですか?」といったことです。
そのときに「そうなんですね。それなら~がお勧めですよ」と親身になって答えてくれる人は、本質的な思いやりや礼儀正しさを持ち合わせた人です。
一方「いまはそれどころじゃないんだよ」という心持を前面に出してぶっきらぼうに答えたり、失礼な態度をとる人は、本質的な思いやりや礼儀正しさに欠けた人です、即刻不採用で問題ありません。
優秀な人材とはまとめると以下のような人物になります。
専門性や職歴、経験なども大切な要素の一つではありますが、変化の激しい現代において、柔軟に吸収し成長できる人材こそが重要です。
この記事の内容はGoogleの経営陣 エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル、ラリー・ペイジの共著「How Google Works ―私たちの働き方とマネジメント」の内容の一部抜粋と要約です。
一国家と同等な資金を持ち、世界中で知らない人はいないほどのGoogleという大成功企業の中で、
などなど、これからの時代に欠かすことのできない内容がギッシリ詰まった一冊です。堅苦しくなくユーモアがあり読みやすい文体ですので、ぜひ一読されることをお勧めします。