会社など組織の中で上に立つ人々は下にいる人たちよりも優秀でなければいけないと考えている人が少なくありません。
もちろん優秀であるに越したことはありませんが、必ずしも部下よりも優秀である必要はありません。
むしろ、部下の方が優秀でも全然問題ありません。
ここでは、そもそも上司の役割とは何か?上司と部下の関係についてまとめています。
組織の中で上に入る立場の人には、必ずその下に一人以上の部下や後輩を従えることになります。
会社がなぜそのような上司と部下の関係を作るかといえば、組織を効率よくまとめて成果を最大化するためです。
組織が効率よくまとまり、最大の成果を上げるためには2つの方法があります。
軍隊などひと昔前の組織では1の「超優秀な上司が部下を駒のように使う」が一般的でした。ですが現在そういった企業はブラック企業としてやり玉にあげられ、社会的バッシングを浴びるだけでなく、人も集まらなくなっています。
現代の企業が成果を出し成長し続けるためには、部下が自発的に動いて成果を出す以外に方法はありません。
つまり、上司の役割とは「部下のやる気を引き出し、自発的に動いて成果を出せる人材にすること」です。
ふんぞり返ったり、偉そうにしたり、そんなこともできないのかと怒ったり、部下のやる気を奪う人は現代の組織では必要とされていません。
上司の目的が「部下のやる気を引き出すこと」である以上、上司は部下より有能である必要はありません。
もちろん部下のやる気を引き出すことにかけては有能である必要があります。ですが、仕事の能力や身体能力、知識などの面で優れている必要はありません。
理想の上司と部下の関係は、動物に芸を仕込む関係に似ています。サーカスのライオン使いや、サルの曲芸師などです。
人が動物を指示し、動物は自身の能力を発揮してパフォーマンスを行います。ライオンやサルは使われる側ですが、決して人間より能力が劣っているわけではありません。
むしろ、ライオンやサルなどの使われる側の方が能力が上です。
ライオンは人よりも体が大きく、人をかみ殺すほどのパワーや、鋭い牙や爪を持っています。唸り声の迫力も人間の比ではありません。
サルは人間より体が小さいですが、柔軟性、素早さ、ジャンプ力、体幹などほとんどの運動神経で人間脳能力を遥かに上回っています。
上司が部下のやる気を引き出すために何をすべきか?も動物使いから学ぶことができます。
ライオン調教師として30年以上のマイケル・ハウズさんは次のように語っています。
「私もまだ毎朝、掃除してますよ」
動物の調教師は動物の世話をしなければいけません。このため、休みは1週間のうちで半日程度しかありません。
朝5時半には起きて動物の世話をしています。
掃除をして、エサをやり、ふんなど下の世話をする。それをずっと続けてることが、優秀なの動物使い条件となります。
マイケル・ハウズさんと同じく上司は部下の能力を引き出すために、部下の世話をすることが仕事となります。
上司になって仕事を部下に押し付けて楽をしようと考えている人は、最も上司になってはいけない人です。
利益を出すことが難しい航空業界で何年間にもわたって黒字を出し、MBAなどの経営者向けセミナーや本の中で成功事例として頻繁に引き合いに出る、サウスウエスト航空の創業者 ハーバート・ケレハーは人のや上に立つリーダーの役割を次のように述べています。
リーダーシップとは、部下のために一生懸命働く召し使い。
もちろん、本当の召使になって部下が上司が芸をするようになったら本末転倒です。
部下が能力を発揮するために最高の環境とメンタルを用意するというのが上司の仕事です。
この記事の内容は篠原 信さんの「自分の頭で考えて動く部下の育て方」の内容の一部抜粋と要約です。
なぜ指示待ち人間が生まれてしまうのか、どうすると人が自ら動いてくれるのかがたくさんの実例を踏まえてとてもわかりやすく説明されています。
マネージメントなど人を指導する立場にある人は一読しておくべき指南書です。