クロージングとは商談の中で相手に「結論を出させる」ことです。
結論といっても、必ず契約をとるというわけではありません。「Yes」か「No」の回答をはっきりともうらうことです。
分かりやすい例でいくと、いいクロージングとは先輩から「今日の営業どうだった?」と聞かれて、「受注」か「失注」のどちらかを答えられる状態のことです。
クロージングまでの流れは次のようになります。
クロージングまでに、お客様の①ニーズを知り、そのニーズに対して②自社の商品を使ってどう解決できるかを提案し、お客様との間に③良好な関係性をしっかりと構築しておく必要があります。
この3つができているからこそ、最終的にYes, Noの判断をもらうクロージングで、「Yes」を引き出せる確率が上がるわけです。
次の4つのうち、どれか一つが飛びぬけていれば契約が取れるわけではありません。どれか1つが欠けてもいけないものです。
例えば、相手とどんなにいい関係性を築いて、ニーズを解決するいい提案をしたとしても、クロージングをしなければ決まることはありません。
クロージングをするうえで最も重要なことがあります。
それは「断られる勇気を持つ」ということです。
営業とは常に契約をもらえるものではありません。むしろ断られることの方が多い仕事です。
業種やサービスにもよりますが、飛び込み営業など中には、普通の営業で受注率が3%、成績が良い優秀なセールスでも7%程度のような場合もあります。
優秀なセールスでも、100人に営業をかけて93人に断わられるということです。
つまり、営業に共通することは「断られる確率の方が高い」ということです。
このため、断られることに対してネガティブにならないというのは、営業として必須のマインドになります。
そのマインドがあるからこそ、恐れずにクロージングを切り出せるわけです。
ダメな営業に共通しているのは、断られることを恐れ、断られたときに必要以上に傷つくという点です。
それは「断られる確率の方が高い」という事実を理解しておらず、「クロージング = 受注すること」という勘違いからきます。
中には、断られることを異常に恐れ、クロージングを切り出せない人も少なくありません。
営業で悪い状態というのは、「あそこの状況どうなっている?」と言われたときに「まだわからないです」と答えている状態です。
クロージングをかけておらず、「Yes」「No」がはっきりしていない状態です。
クロージングにおいて絶対にやってはいけないダメ営業の言動は、
です。
お客様が「じゃあ、興味があったら連絡するよ」といって、本当に連絡がくることは(ほぼ)ありません。
営業活動において、最終的にけつを叩くのは欠かしてはいけない必須行為です。
営業は断られることが多いからといって、「断られても別にいいや」と投げやりになってはいけません。
クロージング自体は「No」も含めて結論を出すことですが、そのNoをYesに変えるために確率を上げられることはたくさんあります。
できる営業と普通の営業の違いは、クロージングまでにどれだけYesをもらえる確率を上げたかです。
受注率の高いできる営業に共通する、クロージングでYesをもらうために重要なポイントは次の6つです。
最後のクロージングをかける段階になると、お客様は2択しかありません。「Yes」か「No」かです。つまり、「契約がとれるお客様」と、「契約がとれないお客様」に分かれるということです。
相手がどんな課題を抱えていて、何を必要としているかはその人の状況やタイミングによっても大きく変わります。
中には、商品に本当に興味がない人もいます。
そういう人にクロージングをかけていくことは、時間のムダですし、なにより相手にも不快な思いをさせてしまいます。
営業活動において、最終的に商品を買うのはお客様です。その商品を買って幸せになるのもお客様です。
そして双方が幸せになるために、最初にどれだけ商品やサービスに興味を持っているかという、相手の興味度をしっかりと探っておく必要がります。
具体的に興味度を確認することはどういうことかというと、例えば、商品の説明が終わり、打ち合わせが7割ぐらい進んだ段階で、直接「興味度は実際のところいかがですか?」と聞くといったことです。
興味度の確認で、興味があることがわかったとしても、お客様によっては次のように懸念を持っている人がいます。
つまり、お客様が「今何を不安に思っているのか」「何がひっかかっているのか」という、お客様の懸念点を一つ一つ潰していくことが、次にやるべきことです。
その際、「具体的にはどういったことでしょうか?」とお客様が不安に思われている真意を探ることも重要です。
懸念点を潰すうえで重要なことは「具体的である」ことです。
一番強いのは「実績」です。「弊社は過去〇〇で、これだけの実績があります。だからご安心ください」と言えれば、お客様は安心できます。
懸念点を潰すうえで重要なことは、最後の最後まで懸念点を潰すということです。
例えば、1つ不安を解消して「なるほど、それなら検討してみますね。でも、今のところは他社の方が有利かもしれません」と言われたときに、わかりましたと引き下がったり、次の話に行ってはいけません。
不安や懸念点が1つでもある状態では、契約は決まりません。
ちょっとでも不利な点や懸念点があれば、「なるほど、それはどういったことでしょう」や「先ほど、〇〇とおっしゃられていましたが、具体的にはどういったことでしょうか?」といったように更に掘り下げます。
そして「その点でしたら、弊社の実績で〇〇がありますので、ご安心ください」と伝えます。実績で勝てない場合も正直に「確かに、実績では他社様の方が長くやられているぶん素晴らしいです。ですが、本当に重要なのは人数の多さではなく、実際に担当してくれる人だと思うんですよね。なので、是非、私を見ていただきたいです!」と返します。
掘り下げることは悪ではありません。むしろ知ろうとしてくれて、寄り添ってくれている、本気で解決しようとしてくれているという印象を与えることができます。
懸念点を徹底的に掘り下げることは、営業にとってもお客様にとってもいいことです。
懸念点を潰すときに「私は、御社のビジョンに誰よりも共鳴していて、絶対にいいものを作る自信があります!」という想いや熱量を伝えることは非常に重要です。相手も言われて嬉しいです。ですが、それだけでは足りません。
相手が本当に欲しいのは「納得できる材料」です。
それは、お客様の求めているものに合わせて提供します。
例えば、新卒採用の企画で「相手の方が実績もあるし、10年以上やってるベテランだからね。」と言われた場合は、「社長、確かに相手の方はベテランですごい人です。実績では適いません。ですが、新卒に最も近いのは私で、今の新卒の子たちの気持ちがわかるのも私です!」と伝えれば、それが「なるほどな」「確かに」という一つの説得材料になります。
不安を解消するときにやってはいけないのはお願いです。「社長、私たちにはこうしたアドバンテージがあります。だからお願いします」と懇願してはいけません。
お願いするということは、相手が上で、こちらが下ということです。
本来の営業はそうではありません。お客様と営業は常に対等です。
ただしくは、「社長、私たちにはこうしたアドバンテージがあります。だから、私たちに任せてもらった方が絶対に良いものができます!」という自分たちの提供する商品に自信を持った提案です。
お客様が不安に思っているところは、社会一般的に見てデメリットであることが大半です。
などです。
こういったデメリットを伝えられた時に、そこで勝負しようとするのではなく、「そのデメリットが、実はメリットなんです」と伝えるのは非常に強力です。
例えば、「従業員数が少ない」と言われたときに、「いや、社長、実は従業員数が少ないのがメリットなんです。私たちの会社は人気がなくて人が少ないわけではなく、毎年何千人という応募がある中で、会社のビジョンに本当に合い、かつ厳しい試験を突破できる精鋭しか言いない会社です。だからこそ、より品質の高いもをお出しすることができます」と返すことができます。
「価格が高い」と言われたら、「確かに価格は高いです。ですが、本当に根本のところからいいものを作って、かつ持続できるようにするには、徹底した調査や作り込み、それに対する時間が必要です。本当に良いものを作ろうと思ったらこの価格は必要投資です」と返します。
このように答えることで、デメリットが一気にメリットになります。
懸念点を潰す際に、他社と比較されるということが往々にしてあります。
その時に決してやってはいけないことは、他社を落としたり、他社の悪口を言う事です。「あそこの会社は〇〇しかできません」「あそこは××なんですよ」「評判よくないですよ」というのは絶対NGです。
悪口はブーメランとして返ってきて、こちらの評価を下げます。
相手が「あっ、こいつ他社を落としにかかってるな」と感じたらアウトです。
そうではなく「他社様は素晴らしい会社ですので、そんなことはないと思いますが」といった枕詞を置いて、一般論で「一般的には〇〇です。弊社に関してはそんなことは決してないのでご安心ください」という伝え方をします。
相手の懸念点を一つ一つ潰し、不安に思っていることを「なるほど。それなら大丈夫か」と感じてもらったら、次にすることは「結論を仰ぐ」ことです。
ダメな営業は「よかったらご検討ください」といったように結論をとろうとしません。この言動の裏には、相手のことを配慮しているとか、断られるのが怖いといった色々な要因がありますが、クロージングとしては最悪な状態です。
「やる」か「やならい」かをはっきりさせることがクロージングにおいては非常に重要です。
あなたのために絶対に成功させたい!という熱い想いを伝えたうえで、率直に「やっていただけますか?やっていただけませんか?」と聞きます。
「やりますか?やりませんか?」という結論を仰いだとしても、その場で即決できない人がほとんどです。
上司の承認をとらなければいけない、とか、夫(あるいは妻)と話し合わなければいけないなどです。こういったときに「即決できない」というのは普通です。
「一旦、持ち帰って考えます」や、「旦那(妻)と相談してから決めます」と言われたときに「それはダメです。今すぐ決めてください」という営業は完全自己都合で最悪な営業です。
それだけでなく「わかりました。ご連絡お待ちしています」これも完全にダメな営業です。
もう一つやってはいけないことは、営業都合で期限を切ることです。
今月の売り上げが足りないから、「今月中に回答をください」というのは絶対NGです。
今すぐ判断はできないと言われたときは、「いつまでに判断をしてくれるか」という期限を切ることが必要になります。
その期限は相手の都合に合わせます。
なぜなら、営業はものを売りつける仕事ではなく、お客様が幸せになるお手伝いをする仕事だからです。
「いついつまでに決めます」という期限を切ったら、その期限に合わせて進捗状況の確認をします。
「適切に」というのは当たり前のことですが、あまりに期限を過ぎてから連絡をするといった無駄なことをしてはいけません。
また、期限になっていないのに、何度も何度も連絡してプレッシャーをかけることをしないということです。
営業という仕事は、お客様に負担やプレシャーをかけて嫌な思いをさせる仕事ではありません。お客様が幸せになるための手伝いをする仕事です。
なので、「適切に追いかける」という場面においては、お客様が最終決断をしやすくするための手伝いをするよう連絡を取ることが大切です。
例えば、「7月末に結論が出る」という話であれば、8月1日に「どうでしたか?」と連絡をとるのがベストです。関係性が深い人であれば、会議が終わる時間帯を見計らって電話をかけるのもありです。
中には、お客様の中で重要度が低く、優先順位が下がったり、忘れ去られることがあります。そういった場合は、期限前日などに連絡してリマインドすることも重要です。
相手の①興味度を聞いて、②不安に思っている懸念点を解決して、③「やりますか?やりませんか?」と結論を促して、④今すぐには決まらないというお客様に「いつ頃に決まりそうですか?」と期限を切って、⑤期限に合わせて適切に追いかけて、そこまでやった結果ダメだった場合もあります。
あるいは、興味度を聞いた段階で、今はタイミングじゃないということもあります。
そうしたときは、やる事やったら、あきらめることも重要です。
お客様の立場で考えたときに「ない」と言っているのにひたすらクロージングをかけられたら、うっとおしい・迷惑だとしか思いません。
それは、営業にとって時間のムダはもちろん、将来お客様になってもらえるはずの人の芽を摘むことでもあります。
クロージングの大前提「断られることにビビるな」「断られる勇気を持て」です。
その上で、次の6つを満たすことです。
ちゃんとクロージングができているか、できていないかの指標は「やるか、やらないかがしっかりと報告できる状態に持っていくこと」
報告時点で「どうなるか、わかりません」というのはやってはいけないことです。「いつまでに、どうなります」と言えなければいけないという事です。