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【法人の年末調整】年末にやるべき書類まとめ|控除申告書・源泉徴収票・納付書(所得税徴収高計算書)・支払調書・給与支払報告書(個人明細書・総括表)

毎年11月頃になると、税務署と市区町村に提出するための大量の書類が届きます。中には大量の記入用紙が入っています。これらの書類に圧倒される人もいるのではないでしょうか?

法人にとって年末から年始にかけての時期は、1年間の給与計算を締めくくり、税金や社会保険の精算を行う「年末調整」の最盛期です。

本記事では、法人が年末に準備・作成すべき主要な書類をまとめています。

各書類の役割や作成のポイント、提出期限、さらには効率的に進めるための手順についても解説しています。

Point

法人以外でも、青色専従者として給与を支払っている個人事業主も同様の書類作成や提出をする必要があります。


届く書類の一覧

届いた書類は大量です。そのままではわかりにくいので、まずはそれぞれの提出先ごとに分類します。

大きく以下の4つに分類できます。

会社への提出書類(計算のための書類)
  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書
  3. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
会社が作成保管する書類(計算のための書類)
  1. 給与所得に対する源泉徴収簿
税務署への提出書類
  1. 国税資金 領収済通知書【所得税徴収高計算書】
  2. 源泉徴収票※①
  3. 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表【法定調書合計表】
  4. 【支払調書※②】
    • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書【支払調書 1/4】
    • 不動産の使用料等の支払調書【支払調書 2/4】
    • 不動産等の譲受けの対価の支払調書【支払調書 3/4】
    • 不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書【支払調書 4/4】

※①:複写。一番上が「給与支払報告書(個人別明細書)」、2枚目が源泉徴収票
※②:支払調書はA4 1枚 4分割の用紙

市区町村への提出書類
  1. 給与支払報告書(個人別明細書) ※内容は源泉徴収票と同じ
  2. 給与支払報告書(総括表)

※①:複写。一番上が「給与支払報告書(個人別明細書)」、2枚目が源泉徴収票


なお、書類がたくさん届きますが、紙でなくても、電子で完結させることもできます。


黄色と緑色の「給与支払報告書・源泉徴収票」の違い

届いた書類の中には、黄色と緑色の「給与支払報告書・源泉徴収票」が入っています。

これは税務署に「源泉徴収票」の届け出が必要かどうかの違いです。

① 黄色の用紙(3枚複写)の提出先・・・税務署含む

「税務署への提出義務がある人」や「退職者」などに使用するセットです。

  • 1枚目:給与支払報告書(個人別明細書)
    • 提出先:市区町村(従業員が1月1日時点で住んでいる役所)
  • 2枚目:給与所得の源泉徴収票(税務署提出用)
    • 提出先:税務署
  • 3枚目:給与所得の源泉徴収票(受給者交付用)
    • 提出先:従業員本人(渡す)


② 緑色の用紙(2枚複写)の提出先・・・税務署含まない

こちらは主に「税務署への提出が不要な人」に使用するセットです。

  • 1枚目:給与支払報告書(個人別明細書)
    • 提出先:市区町村(従業員が1月1日時点で住んでいる役所)
  • 2枚目:給与所得の源泉徴収票(受給者交付用)
    • 提出先:従業員本人(渡す)


税務署に源泉徴収票の届け出が必要な場合

  • 年末調整をした人: 給与が500万円を超える人(役員は150万円超)
  • 年末調整をしていない人: 給与が150万円を超える人(役員は50万円超)
  • 退職者: 年間の給与合計が250万円を超える人(役員は50万円超)


注意点

注意点
  1. 「給与支払報告書」は、金額に関わらず原則全員分の提出が必要です。提出先は市区町村です。
  2. 源泉徴収票を税務署に提出する対象者が一人もいなくても、「法定調書合計表」の提出は原則として必要です。


【概要】記入する順番

STEP1:会社への提出書類の作成(年末調整)

まずは、会社への提出書類を作成します。これが、従業員自身の年末調整となります。

会社側は提出された書類を元に「給与所得に対する源泉徴収簿」を作成します。

11月中に提出が一般的

会社への提出書類は会社が書類を作成するために必要なため、11月~12月初旬中に提出を求められることが一般的です。


STEP2:所得税徴収高計算書(納付書)の作成と提出

続いて、税務署への提出書類「国税資金 領収済通知書【所得税徴収高計算書】」を作成します。

1月10日が提出期限なので早めに作成する必要があります(「納期の特例」を受けている場合は1月20日)。

提出必須!

納める額が「0円」になった場合でも税務署に提出する必要があります。


STEP3: 法定調書と市区町村提出書類の作成と提出

税務署に提出する書類と市区町村に提出する書類を作成します。

税務署に提出するための書類は以下の3つです。

税務署への提出書類
  1. 【源泉徴収票(黄色)】※①
  2. 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表【法定調書合計表】
  3. 【支払調書※②】
    • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書【支払調書 1/4】
    • 不動産の使用料等の支払調書【支払調書 2/4】
    • 不動産等の譲受けの対価の支払調書【支払調書 3/4】
    • 不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書【支払調書 4/4】

※①:複写。一番上が「給与支払報告書(個人別明細書)」、2枚目が源泉徴収票
※②:支払調書はA4 1枚 4分割の用紙

★支払調書は該当がある場合にのみ作成します。


市区町村に提出する書類は以下の2つです。

市区町村への提出書類
  1. 給与支払報告書(個人別明細書) ※内容は源泉徴収票と同じ
  2. 給与支払報告書(総括表)


提出期限は1月31日

税務署も市区町村のどちらも提出期限は1月31日です。(31日が休みの場合は、次の営業日)



【書き方】STEP1:会社への提出書類の作成(年末調整・・・会社保管資料)

まずは、「STEP1:会社への提出書類の作成(年末調整)」を行います。

なお、これらの用紙は国税庁のHPでダウンロードできます。入力用のPDFをダウンロードすれば直接入力できるので、紙が要りません。


給与所得者の扶養控除等(異動)申告書・・・従業員

妻や子供など扶養している人がいる場合に控除を受けるための書類です。


詳細な記入例

より詳細な記入例は国税庁のHPにのっています。

(参考)国税庁 各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)



給与所得者の保険料控除申告書・・・従業員

年間で支払った保険料に対し控除を受けることができます。対象となるのは以下の4つです。

  1. 生命保険料控除(生命保険、介護医療保険、個人年金保険)
  2. 地震保険料控除
  3. 社会保険料控除(自分で国民年金を支払った場合)
  4. 小規模企業共済等掛金控除(小規模企業共済、iDeCo、確定拠出年金)
詳細な記入例

より詳細な記入例は国税庁のHPにのっています。

(参考)国税庁 各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)



給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書・・・従業員

「自身の年収」「配偶者控除」「所得金額調整」の3つの申告を1枚にまとめたものです。

主な役割は、納税者全員が受けられる「基礎控除」の額を、自身の年収(2,500万円以下)に基づいて確定させることです。

また、収入のある配偶者がいる場合の「配偶者(特別)控除」や、年収850万円超で子育て世帯等の負担を軽減する「所得金額調整控除」の適用有無も判定します。

まず左側の「基礎控除申告書」欄に自身の給与/役員報酬額を記入し、控除額(通常48万円)を算出します。配偶者がいない場合は右側の欄を記入する必要はありません。



令和7年からの給与所得控除は以下のようになっています。

(出典)国税庁 給与所得控除

詳細な記入例

より詳細な記入例は国税庁のHPにのっています。

(参考)国税庁 各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)

青色専従者は配偶者控除の対象外

配偶者が青色専従者の場合、給与が1円でも発生しているなら、配偶者控除は受けられません。

個人事業主が源泉徴収を発行し、年末調整または確定申告をする必要があります。


給与所得に対する源泉徴収簿・・・会社

「給与所得に対する源泉徴収簿」は、会社が従業員に支払った毎月の給与や、天引きした税金・社会保険料を一人ずつ記録するための社内用の台帳です。

社員1人に対して1枚作成します(※人数分必要)

主な役割は以下の2点です。

・月々の記録: 毎月の額面給与、社会保険料、源泉所得税を時系列で集計する。
・年末調整の計算: 裏面等を使用して、1年間の総所得から最終的な所得税額を算出する。

この書類は税務署等への提出は不要ですが、法定調書や源泉徴収票を作成するための「根拠データ」となるため、会社で7年間保管する義務があります


社員から提出された以下の書類の内容をまとめていきます。

会社への提出書類(計算のための書類)
  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書
  3. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
詳細な記入例

より詳細な記入例は国税庁のHPにのっています。

(参考)源泉徴収簿を使用した年末調整の手順
(参考)給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿の作成


※裏面は参考情報なので、記入は必須ではありません。


【書き方】STEP2:所得税徴収高計算書の作成と提出 ★e-tax

STEP1の書類を元に「所得税徴収高計算書」を作成していきます。

なお「所得税徴収高計算書」は作成・納付ともにe-taxでオンライン完結させることができます

源泉徴収が0円でも提出が必要

納付する税額がない場合でも、税額が0円の所得税徴収高計算書を提出する必要があります

納付する税額がない所得税徴収高計算書の写しへの収受日付印の押なつは行いませんので、必要に応じて、ご自身で提出年月日の記録・管理をお願いいたします。


e-Taxで作成

以下のページに詳しい方法が記載してあります。

(参考)e-Tax 源泉所得税(徴収高計算書)についてよくある質問



【書き方】STEP3: 法定調書と市区町村提出書類の作成と提出

「税務署」に提出する書類と「市区町村」に提出する書類を作成します。


eLTAXでまとめて提出できる!

「eLTAX」を使うと、1回の流れで、4枚の資料を作成し「税務署」と「市区町村」に送付することができます。

これが一番簡単で便利です。

市区町村への提出書類
  1. 給与支払報告書(個人別明細書) ※内容は源泉徴収票と同じ
  2. 給与支払報告書(総括表)
税務署への提出書類
  1. 源泉徴収票
  2. 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表【法定調書合計表】

(*e-Taxの場合は税務署に提出する2つの書類をまとめて送付できます。市区町村には連携しません)



給与支払報告書と源泉徴収票

用紙の場合、源泉徴収票は重なっており、上が「給与支払い報告書(個人別明細書)」、下が「源泉徴収票」です。


(参考)国税庁 給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)


【法定調書合計表】給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表


給与支払い報告書(総括表)

給与支払報告書はシンプルな書類です。

(出典:鉾田市 https://www.city.hokota.lg.jp/data/doc/1511770371_doc_29_0.pdf


支払調書は対象者のみ

「税務署への提出範囲(一定額)」を超える人が1人でもいれば、その人の「支払調書」を作成し、「法定調書合計表」と一緒に提出する必要があります。

主な支払調書の提出範囲(税務署に出す基準)は以下になります。

支払調書の種類年間の累計額(支払いの総額)
税理士・弁護士報酬など5万円超 ※①
原稿料・講演料・デザイン料など5万円超 ※①
不動産の使用料(家賃・更新料)15万円
不動産の譲受けの対価(売買代金)100万円
※① 法人は対象外

「税理士・弁護士報酬など」「原稿料・講演料・デザイン料など」は相手がフリーランスなどの個人の場合のみ対象となります。法人は対象外です。


 なお、支払調書は各項目ごとにまとめて記入します。

支払調書
  1. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  2. 不動産の使用料等の支払調書
  3. 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  4. 不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書
yuta