倉廩実ちて礼節を知る(そうりんみちてれいせつをしる)の意味とは?由来と出典を含めて解説。現代に活かす方法

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倉廩実ちて礼節を知るの意味

人という生き物は、衣食が揃ってようやく礼儀を知ることができる、という意味。


ちなみに、倉とは蔵のこと。廩(りん)とは米のこと。倉廩は米蔵を指す言葉になる。つまり、食料貯蔵庫のこと。

現代で言えば、食料を買えるスーパーやコンビニにあたる。

コロナや震災でもそうだが、スーパーの食料品が買い占められたとき(倉廩が空のとき)、礼儀に満ち溢れて、自信をもって仕事に打ち込めるかといったら、たいていの人にはムリ。

仕事?学校?そんなことなんかより、今食べていくほうが大事!となる性質を言い表している。

意味としては、ふーんなるほど。という感じ。ただ、この諺がいつ使われたかを知ると、現代でも大いに活用できる価値ある言葉に大変身する。

言葉の由来

約2,700年前の中国のお話。

斉という国の王様 桓公(かんこう)に対して、超絶優秀な部下 管仲(かんちゅう)が言った言葉。

周りの国が力を増してきて、いつ攻め込まれるかと気に病んでいる桓公が、「どうしたら自分の国を強くすることができるか?」と管仲に尋ねたときの回答は、


「商業を奨励し人々を豊かにすること」


桓公の反応は、

「は?意味わからんわ。なんで国を強くするのに商業やねん?なんで庶民を豊かにすんねん?」

となった。

そこで言ったのがこのことわざ。

「倉廩実ちて礼節を知る(そうりんみちてれいせつをしる)」

人という生き物は衣食が揃ってようやく礼儀を知ることができる。裏を返せば、貧しい人々に礼儀を説いたところで聞き入れるわけがない。

生活にゆとりができれば道徳意識は自ずと高まる。道徳意識が高まり、人々が豊かになれば年貢も多くなり、国の財政も豊かになる。国の財政が潤えば富国強兵になる。という見立て。


ことわざがすごいというよりも、すごいのは管仲の思考回路。


「国を強くしたい」→「お金が必要」→「お金は一般市民が収める」→「一般市民が豊かになる必要がある」→「一般市民が心配せず働ける状態にすることが必要」

だから、「倉廩実ちて礼節を知る(そうりんみちてれいせつをしる)」という人間の持つ性質を活用しましょう、ということ。

ここまで知れてようやく、この諺おもしろっ!となる。


理由や背景を伝えない学校のただ覚えるだけの詰め込み教育マジで意味ない。意味ないだけならいいけど、意味わからんものをムリヤリ強制させて、勉強に対する嫌悪感ど罪悪感を与えるとか害悪でしかない。学びの邪魔。。

富国強兵のプロセス

  1. 農業を奨励し、人々を飢えさないこと。
  2. 飢えの心配がなくなれば、着るものや装飾品を求めるようになる。
  3. これが商業の発展につながる。
  4. 商業をする際は、自国の地の利を生かす(海に面しているので塩をつくる)
  5. そうすれば周辺諸国から商人が集まってくる。
  6. 商人が集まってくれば自国に落ちるお金も大きくなる。
  7. もし、戦いが始まれば莫大な軍費が必要になる。
  8. 財政が豊かであれば、領民に迷惑をかけずに軍費を捻出できる。


成功する政治とは?

成功する政治とは?管仲に言わせればたった一言。

「まず与えること。そして取ること」

飢えた民から取り続けた国は必ず滅ぶ。欲すればまず与え、そして受け取るシステムを作り上げよ。

ズルする人にはどう対処すればいい?

商業を奨励すれば、不正に儲けようとするヤツも当然でてくる。そいう場合には、厳しい仕打ちを与える。

ひっ捕まえて、縄で手をくくりあげ、体の自由を奪った上で、屈強な兵士にムチで何度も打たせる。とか。


なにごとにおいても道がある。武には武道、文には文道、商には商道。道を外れるものには、厳しく取り締まる必要がある。そうすることで秩序をもち発展していける。

現代に活かす方法

中国の歴史石像

自分の所属するチームや組織を強化したいと思ったら、まずは、個々人の悩み事を取り除くことが大事。

今の時代に飢えに悩むということはまずない。(それよりも食料がありすぎて、肥満に悩む人の方が多い時代)

なので、その人が気を揉んでいる「仕事/スポーツ/行事どころじゃない!」という心配ごとを取り除くということ。

そのためにはチームを一丸にしたいと思う人が、身を切って一肌脱ぐしかない

何かを得るためには、まず与える。「まず与えること。そして取ること」この順番がとても大切。順番を間違えると自分が衰退の道をたどることになる。


与えるという目前の行為にだけ目を向けてしまうと、体力、エネルギー、時間、お金が「減る」ことが目立ってしまうが、

その結果、相手が元気になり、目標に打ち込めるようになれば、それ以上のペイが返ってくる。



2,700年経っても色褪せない超天才政治家 管仲様の言葉にあやかりましょう。

出典

この内容は、「横山光輝(よこやまみつてる)」さんの、「史記(しき)」で書かれている内容です。

史記?中国の歴史所でしょ?なんか古臭くて、お固くて、現代人には必要ないね。時代遅れ。なんて思わないでください。

絵はシンプルで、とにかく読みやすくて、人間模様がありありと書かれています。

内容は、人が死ぬときは死ぬ、陰謀が成功するときは成功する、才能ある人も時代の流れにあわなければ滅びる、時代の流れに合えば悪いやつも成功する。そんな歴史上の事実がそのまま描かれています。

脚色されすぎたり、大人の都合で大幅カットされているわけではないので、学びも多いです。

この諺の内容はたったの数ページ(全体の0.05%)。また、記事は厳密さよりも、「わかりやすく興味を持てること」を重視しているため、もっと詳しくしりたい!と思った人はぜひ手にとってみることをお勧めします。


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