信頼してはいけないの人はどんな人?条件や組織や会社の中に置くべきでない危険人物とは|史記(横山光輝) から学ぶ人生の選択

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2000年以上前に司馬遷(しばせん)によって書かれた中国の有名な歴史書、「史記(しき)」には現代でも活かせる教訓が大量に隠されています。

2000年経っても色褪せない人間の本質から学び、現代における実例や使い方を考えることで常識や固定観念を打破し、これからの人生をより良きものにするためのヒントをリアルな歴史の成功事例と失敗事例から学んでいきましょう。

都合のいい人を側に置くな。都合が悪くても優秀な人を側に置け。

この人を信頼していいのか?会社で採用していいのか?自分のパートナーや右腕として適切なのか?詐欺や裏切りが横行しているこの世の中ではそのように悩んでいる人も多いと思います。

人は誰しも欲(実現したいこと)があるものですが、そういった人の中でも要注意危険人物はどういう人かを中国史の中から学んでいきましょう。

いきなり結論から入ると、自分の欲のために近づいてくるものの中でも、自分が気に入られるために家族、親族、親友をないがしろにする人、あらゆる手を尽くして近寄ってくる人は絶対に信用してはいけません。

そういった人たちはあなたの要望のために自身の家族や体を犠牲にするほどなので、あなたにとってとっても気持ちいい存在です。

しかし、上の立場の人がそういった人物を気にいって側に置いてしまったら、どこかで必ず、そういった人と、組織のことを思う勇気ある優秀な人とのぶつかり合いが生じます。自分の保身のために家族や親友すらも裏切るような人は、全力でその優秀な人を潰しにかかります。裏であることないこと言いふらし、上の立場の人をうまくいいくるめようとします。

そこでもし、上の立場の人がこの優秀な人よりも、自分の気持ちいいことをたくさん与えてくれる人の言葉を信じたら、真に組織のことを考えている勇気ある人は嘘つきとなり厳罰を課されることになります。

組織の事を思う勇気ある人が厳罰に処せられれば、同じく国のことを本気で考える人たちは自分も同じ運命を辿ると感じ取り、組織を見捨ててでていきます。追い出した側にとっては、余計なことをいってくるうるさい人たちがいなくなったので自由きままで心地いいかもしれません。

しかし、もっと大きな目で見ると、その組織から優秀な人材がどんどん抜け出ている状況になります。そして、その組織を転覆させる機会を虎視眈々を狙っていた人たちにとっては、相手の弱体化と優秀な人材獲得のダブルボーナスとなり願ってもいないチャンスが訪れていることになります。

また、自分の保身ばかり考える人たちは、自分の勢力を強化するために組織の中に派閥を作ります。派閥ができれば組織の内側で争いが生じます。優秀な人材が抜け出て弱まったことで、他国が強くなり、更に内部分裂が起これば、その組織が滅ぶのは時間の問題です。

長期目線でより安定した繁栄を手にしたいのであれば、都合のいい人を側に置いてはいけません。都合が悪くても優秀な人を側に置く必要があります。

どういった人がこの都合がいい人にあたるかは、斉の国を支え発展させてきた優秀な政治家 管仲(かんちゅう)が、死ぬ間際に君主の桓公(かんこう)に対して、側近の後継者として選ぶべきでない人として伝えています。

料理人だった易牙(えきが)は、あなたが一度、人間を食べてみたいと言った時に、自分の子供を殺してまであなたの機嫌を取り始めた。これは人間の情に背きます。こういう人間を選んではいけません。

開方(かいほう)はもともと他の国の貴族の子でありながら、あなたに気に入られるために家族・親戚を捨てました。これも人間の情に背く行為です。近づけてはいけません。

豎刁(じゅちょう)はあなたに気に入られるために、去勢(男の大事な部分を切り落とすこと)して重要な役職に付き、あなたがお気に入りの女性たちの力を借りて、あなたに近づきました。このような人間を信任してはいけません。


つまり、自分の欲望のために家族や親戚をないがしろにする情のない人や、女を使ったり、ゴマをすって近づいてくる者は信用してはいけないということです。

しかし、この3人は自分の家族や体を犠牲にするぐらい、君主の要望によく応え、とっても満たしてくれる存在です。もちろん、君主のご機嫌を取るのも上手で、寵臣(お気に入りの部下)として側に置かれていました。そのため、結局、君主は管仲の遺言には従わず、管仲の死後もこの3人を重宝しました。

3人は君主が存命で権力があるうちは美味しい思いができるのでこれまでと同じくゴマを摺り続けました。幸いにも君主は生きている間、権力を保ち続けることができたため、美味しい思いをすることがdけいました。しかし、君主が死んだあとは見るも無残なことばかりが起こりました。

3人は自分の地位をより優位にするために、言うことを聞く君主の無能な子に後を継がせようと策略しました。その結果、派閥ができ内部争いが勃発しました。その無能な子を即位させることに成功したのですが、数ヶ月ほどで利用価値がなくなったので結局毒殺してしまいました。そうした内乱を経て国は見る影もないほどに衰えていったのです。


なお、その跡継ぎ争いの間、死んで権力の亡くなった王に利用価値がなくなったため、3人はその死体を10カ月間放置し、死体はうじ虫がわき一代を築いた王の最後は惨めなものになりました

これは、君主が目先の気持ちよさに負け、自分にとって都合のいい者を周りにおいた結果招かれたものです。

現在の世の中にも都合の良さがたくさん転がっています。特にあなたの地位が上がれば上がるほど、お金が増えれば増えるほど、有名になればなるほど、美味しい話を持ってくる人が増えます。そういった美味しい話をとりいれれば、目先の気持ちいい・楽というメリットを享受することができます。
しかし、それが続くのは、あなたに権力やお金がある間だけです。あなたに権力とお金がなくなった瞬間に美味しい話をもって来た人たちは去り、あなたは惨めな人生を送ることになります。

仮に生きている間、あなたが権力やお金を保ち続けることができたとしても、あなたが死んだ後、その権力もお金も食い荒らされ、残された一族は惨めな生活を強いられることになるかもしれません。自分の欲のためにあなたにたかっていた人たちには、あなたの残された家族を責任持って面倒を見たいなんて気持ちはサラサラないでしょう。

もし、長期的な安泰を築きたいのであれば、都合のいい人を遠ざけ、都合が悪くても優秀な人を重宝することが必要になります。自分が死んだ後の未来を見据えるぐらいの広い視野が重要です。

内部の揉め事や内部分裂は気に入られようとゴマをする人から始まる

組織の内部で揉め事が起こったり、内部分裂が発生して最終的に組織が滅ぶ時、その発端には、たいてい上に気に入られようとゴマをする人の存在があるります。


上の人に気に入ってもらいたい、どんな手を使ってでも近づきたいと思う人は、自分がもっと甘い汁を吸うことを考えています。
そのためには一生懸命ゴマを擦り、気に入られ取り入ることで上がっていきます。そして、自分の保身のため、今取り入っている権力者が死んだ時に自分の身が危なくなる状況を考慮し、あらかじめ手を回して、自分の脅威になる人をおとしめる努力をすることも厭いません。

そういう人たちは裏でありもしない噂をばら撒いたり、権力者に悪いことだけを報告したりします。自分の悪事がバレそうになれば命がけで弁明し、告発してきた勇気ある知者を真正面から批判します。その結果、内部分裂が発生し、力が弱まり、侵略され、滅びる道を辿ることになります。

逆に、国や組織のことを本当に思う優秀な人材は、気に入られようなんて考えません。権力者にとって不快なことでも、やるべき、あるいはやめるべきだと思ったら真っ直ぐに忠告をします。

権力者からしたら決して気持ちいいものではありません。それよりも、自分にヘコヘコして、楽しみや快楽を与え続けてくれる人の方が気持ちいいです。

もし、権力者がその気持ちいい人を優先した結果、優秀な人が自国から去り、敵国の強化につながり、自分の身を危険に晒します。そして、最後には、国が滅んでいきます。

つまり、上に立つものが、本当に優秀な部下を見抜き大切にするかが、その組織の発展に大きく影響するのです。それができないと、内部から崩壊していきます。


もし、あなたに耳の痛い忠告を素直に聞き入れることができるなら上に立つ器量があります。逆に、もしあなたが部下の立場なら、権力者が大切にしている側近の顔ぶれや行いを見て、時にはその組織を見限ることも重要になります。

殷の王であった紂王、春秋時代の斉の君主 桓公、周の王 平王、みな、国を思う優秀な側近よりも、気持ちのいい側近を選び、結果、内乱や家督争いが起こり、これまで手にしてきたものが空中分解し、最後には惨めな終わりを迎えています。

成功のために優れた側近は必須要件

中国の歴史を見ても、人の上に立ち長く安定した立場を保ち続けられた人には、自分よりも優秀な側近が多くいます

春秋時代の斉の君主 桓公には、管仲(かんちゅう)、鮑叔(ほうしゅく)の2人がいました。鮑叔だけでもかなり優秀ですが、更に管仲という逸材がいたことで、一国だけでなく、未来にプラスになる選択を積み重ね、多くの協力者を得て国を発展させ、たくさんの国を従える大国にまでなりました。

同じように、春秋時代の晋の君主 文公には、叔父の趙衰(ちょうし)、咎犯(きゅうはん)、賈佗(かた)、先軫(せんしん)、魏武子(ぎぶし)の5人の優れた側近がいました。

前漢の初代皇帝 劉邦には、張良(ちょうりょう)、韓信(かんしん)、簫何(しょうか)の3人の優秀な側近がいました。

これらの3人のトップは最初から成功していたわけではありません。弱小の状況を経験し、そこから成功を積みさね、最終的に立ち安定した国を築きあげたのです。そして3人とも、自分よりも優れた人を登用し、戦略や忠告をしっかりと聞き入れ、部下が才能をフルに発揮できる環境を作ってきました

加えて、そのように優秀な人物をきちんと登用したことで、その噂を聞きつけた優秀な人が集まり、どんどん力をつけていったのです。

ここから学べるように、会社や組織を成功させ長期的に安定した状態にしたいと考えるのであれば、上に立つ人がやるべきことは、自分のスキルを磨いて地位を確立することではなく、周りにいる優秀な部下たちが能力をフルに発揮できる環境を整えることです。優秀な人をしっかりと見抜き登用し、環境を整えれば、それを聞きつけた優秀な人たちが、この人の元なら自分も力を発揮できると考えどんどん集まってきます。それが安定した成功をもたらすのです。

自分の力だけでも一時的には成功できるかもしれません、しかし、長期的な安定と成長を実現するためには、優れた側近なしでは成し得ないのです。

出典

この内容は、「横山光輝(よこやまみつてる)」さんの、「史記(しき)」で書かれている内容です。

史記?中国の歴史所でしょ?なんか古臭くて、お固くて、現代人には必要ないね。時代遅れ。なんて思わないでください。

絵はシンプルで、とにかく読みやすくて、人間模様がありありと書かれています。

内容は、人が死ぬときは死ぬ、陰謀が成功するときは成功する、才能ある人も時代の流れにあわなければ滅びる、時代の流れに合えば悪いやつも成功する。そんな歴史上の事実がそのまま描かれています。

脚色されすぎたり、大人の都合で大幅カットされているわけではないので、学びも多いです。

この諺の内容はたったの数ページ(全体の0.05%)。また、記事は厳密さよりも、「わかりやすく興味を持てること」を重視しているため、もっと詳しくしりたい!と思った人はぜひ手にとってみることをお勧めします。


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